「伝統美をつなげる」

日本という国に生まれ、物作りに携わり、さらに地球環境について考え始め、自然な流れで私は「着物」に導かれたように思う。

着物は日本人の大切なアイデンティティであるにもかかわらず、人々の日常からはかなりかけ離れた存在になっている。

多くの素晴らしい技術をもって丁寧に作られた着物たちはなかなか人目に触れることなくしまわれている。

もう一度それらを現在の私達の現実世界に返り咲かせること、その道筋が目の前に出現したのである。

脈々と受け継がれてきた文化としての着物、染色の技法、風土との関連、伝統芸能の中の役割等、学ぶべきこと、そして作るべきものは山のようにあり、今はまだその山裾にたどり着いたに過ぎない。

しかし険しくともその山に登ることが、自然と共存してきた日本人の営みや息遣い美しさを継承し守ることに繋がるのである。