旅するスーツ

男性のために仕立てられてきた渋く力強い布、大島紬。その重厚さをあえて女性の身体に纏わせることで、静けさのなかにある強さと、凛とした美しさが際立ちます。

fumikaが選んだのは、古いアンサンブルの大島紬

〈写真・大島紬のアンサンブル〉

黒に近い深い色味、繊細な絣模様。そして、驚くほど軽く、風を通す着心地は、まさに春夏の旅にふさわしい一着です。

シルエットは、現代の空気感を意識したゆとりあるオーバーサイズ

〈写真・大島紬のセットアップ着用の様子〉

構築的でありながら、動きのなかに柔らかさが宿るラインは、ふと立ち止まりたくなるような静かな存在感を放ちます。内側には、当時の着物の裏地をそのまま使用。

〈写真・裏地も着物の裏を使用〉

時の記憶がそのまま残る、fumikaらしい「命の継承」です。このスーツはただの装いではありません。日常を離れて旅に出るとき、内なる静けさとともに歩くための、もう一つの風景でもあります。

〈写真・大分コミコミュージアムにて〉