着物は、⾃然から⽣まれた⾐服です。
草⽊で染められた布は、
肌にふれた瞬間に
そのやさしさを教えてくれます。
天然素材は通気性に優れ、
植物染料はもともと薬草として
⼈々の暮らしと共にありました。
たとえば絹は、冬はあたたかく、夏は涼しい
まるで季節に寄り添うような布です。
着物を着るということは、
⾃然とともに呼吸すること。
私たちの⾝体が、
本来もっている感覚を思い出させてくれます。
着物は、植物や蚕といった
⾃然の恵みから⽣まれます。
⽷は蚕から、⾊は草⽊から。
すべては⾃然界から「いただいて」
つくられたものです。
それは、いずれ⼟に還るという、
やさしい循環の中にあります。
fumika では、使い捨てではない
⾐服のあり⽅を⼤切にしています。
丁寧に染められ、織られ、
仕⽴てられた着物は、
何⼗年と着ることができます。
同じ⾊合いはふたつとない
植物染料だからこその⼀期⼀会の美しさ。
お直しを重ねながら、
時を纏う服を、私たちは⼤切にしています。
⼀枚の着物には、
⾒えない⼿がいくつも重なっています。
蚕から⽷を引き、植物から⾊を煮出し、
染め、紡ぎ 、織り、縫い、仕⽴てる。
そのすべての過程に、⼈の⼿と、想いと、
技と、祈りが込められています。
誰かの魂が注がれてできた布を
⾝にまとうとき、
その静かな⼒が、
まるで⾃分の魂を守ってくれるように
感じることがあります。
fumika は、そうした「魂のこもったもの」を、
もう⼀度、現代のかたちで纏いなおすこと
を⽬指しています。
忘れられてゆく着物、問い直される⾐服。
今、着物は⼤量に捨てられています。
何世代も⼤切にされてきた布が、
知られることなく、
燃やされているのです。
そしてアパレル業界もまた、
過剰な⽣産と廃棄を繰り返しています。
着られることなく処分される新品、
安価な⼤量⽣産、環境負荷
服のあり⽅が、いま問われています。
fumika は、着物の再⽣というかたちで、
この問いに応えたいのです。
ただ服をつくるのではなく、
ものに込められた時間や記憶ごと纏う。
それは「静かな品格」を
⼤切にする選択でもあります。
着物には、⽇本の伝統と
職⼈の技術が詰まっています。
裂(きれ)ひとつ、縫い⽬ひとつに、
⽂化と記憶が宿っています。
⽷をつむぐ、⾊を染める、
布を織る、針を⼊れる
すべての所作は、
時を超えてつながってきた美しさです。
fumika は、その美しさを壊さず、
いまの暮らしの中でふたたび
息を吹き込むことを⽬指しています。
〈紬のジャケット〉